捕虜を助け出せ!!
<力丸編>



 血飛沫が舞った。忍装束に返り血を浴びたのも気付かない。それ程に力丸は無意識の中で急いでいた。
「彩女…」
 地下の迷路を彩女の気配を求めて駆け抜けた。

◆ ◆ ◆

 囚われの身になって幾日が過ぎたか判らない。拘束された手首が痛い。
『殺すなら…さっさと殺ってくれりゃ良いのに…』
 朦朧とする意識でそんなことを考えていた。淀んだ空気が張り詰める感じがした。項垂れていた顔を上げて薄暗い
格子の向こうに視線をくれる。見張りに付けられていた偶という賊が断末魔の悲鳴を上げて倒れた。しんと静まり返っ
た洞内に足音が響く。人影が徐々に近づいてくる。彩女の唇から掠れた声が漏れた。
「力丸…」
 そんな筈は無かった。捕虜となった忍を危険を冒してまで助けに来るなど考えられない事だった。軋んだ音を立て
て牢の扉が開く。
「随分…遅かったんじゃないの…」
 わざと拗ねた様な口調で悪態をつく。
「ふ…少しは素直になったかと思えば…」
 鼻で笑われた事に少しむっとして、もう一度悪態をつこうとした。息を吸い込んだところで自分の姿を思い出した。
 ただでさえ丈の短い上衣は所々引き裂かれ白い肌が露になっていた。袴も同様に引き裂かれ、痣と爪痕らしき物
が薄っすらと見て取れた。一目で陵辱された事が見て取れる。一番見られたくない姿だった。思わず力丸から視線を
そらす。
「早く…これ…ほどいてよ…手首痛いんだから…」
 それだけ言うのが精一杯だった。牢の中に漂う空気が僅かに動いた。力丸が近づいてくるのが肌で感じられた。彩
女の耳元で力丸の低い声が囁く。
「何人銜え込まされたんだ…?」
 彩女の身体が一瞬強張った。力丸の手が僅かに残った彩女の上衣を剥ぎ取る。露になった彩女の形の良い乳房
を弄ぶように撫でる。突起部分を口に含み舌先で弄ぶとすぐに固くなった。
「ばか…っ!!りき…ま…る…っ!」
 力丸の唇が彩女の体に残る痣をなぞるように愛撫していく。
「言えよ…。何人銜え込んだんだ…?」
「────ご…にん…」
 震える唇で呟くと俯いて顔を赤らめた。力丸の指が彩女の顎を掴み顔を上げさせる。
「五人…か…。俺が斬った浪人は十人は居た様だが…。」
 捕らえられている間、夜毎彩女の肌を求めて来る浪人達を受け入れてきた。愛撫も無く挿入されるだけの「作業」の
様な交わりは思い出したくも無かった。
『やだ…こんな…汚いとこ…抱かれたくない…』
 拘束された手首が忌々しかった。



「や…め…」
 言い終わる前に唇が塞がれた。力丸の舌が絡みついてくると彩女の唇からくぐもった声が漏れる。空いた手で彩女
の下腹部を探り始める。指先が袴の上から彩女の割れ目を探る。布越しでもそこが熱を帯び、しっとりと濡れてくるの
が判る。閉じていた膝から力が抜け力丸の脚で容易に開かされる。
 湿った音を立てて唇が離れた。
「五人も銜え込んだ割に…満足はさせてもらえなかった様子だな…」
 袴に手をかけ乱暴に引き下ろす。茂みを直に指で探ると彩女の身体がビクリと震えた。薄く開いた唇からかすかに
吐息が漏れる。彩女の身体を熟知した指先が反応を確かめながらゆっくり花芯をなぞっていく。溢れた愛液が力丸の
指を汚す。
「りき…ま…る…っ…はっ…ぁあ…っん…っ…」
 ぬるついた指先で花弁を開かせ、肉芽をコリコリと指で刺激してやると耐えかねた様に喘ぎを洩らす。唇が再び塞
がれる。貪る様に絡み付いてくる力丸の舌を受け入れ吸う。流れ込んでくる唾液を飲み干す。舌を絡めあう音と、力
丸の指先でかき回される花芯の濡れた音とが岩壁に包まれた牢の中に響く。
 唇を解放され、息苦しさと下肢に与えられる刺激とで荒くなる呼吸を整えようとする。力丸が屈みこんで彩女の片方
の足を肩に担ぎ上げる。愛液に濡れた花芯がさらけ出された。
「やだ…やだやだ…っ…!!やめて…汚いよそんな…っ…」
 力丸が何をしようとしているのかを察知し弱々しく首を振る。彩女の静止など聞かず茂みを分け、花弁のようなそれ
を指で広げ舌で花芯を弄ぶ。肉芽を口に含んで軽く歯を立て吸う。
「あ…っ…ぁ…や…っ…やだ…ぁ…っ…!!」
 充分に潤った花芯に指が二本挿入される。舌で弄ばれ敏感になっている箇所をかき混ぜられ、逃れようと身を捩る
が力丸の腕が腰を絡め取る。拘束された手首に痛みが走る。指が抜き差しされるたび彩女の中から愛液が溢れ出
し、力丸の唾液と混ざって内腿を濡らす。
「力丸…もぉ…いぃ…っ…も…っっ…!!あっ…んっ…」
 肉壁が力丸の指を締め付ける。指を引き抜くとヒクヒクと蠢く花芯から愛液が溢れた。達したのを確かめると力丸は
ゆっくり立ち上がった。彩女の脚が高く持ち上げられる。
「こんな…こんなの…あいつ等と変わらないじゃないか…」
 潤んだ眼に抵抗する色は無かった。力丸が鼻で笑う。
「何だ…浪人相手にもこんなに濡らしたのか?」
 彩女は唇を噛んでふいと横を向く。首筋に力丸の息がかかる。
「こんなに濡らして…あんな可愛い喘ぎ声聴かせて…そんな良い表情見せてやったのか…?」
「…っ!!!ばか…!!!!」
 言い返そうとして言葉が続かなかった。未だ火照りの収まらない花芯に力丸の肉棒があてがわれていた。もどかし
い程ゆっくりと彩女の中に挿入していく。
「く…っ…ぅ…っ…!!!」



 根元まで深く結合すると彩女の唇から吐息が漏れた。激しく突き上げられるより力丸との繋がりが意識させられ
る。力丸の手が彩女の腰を引き寄せ花芯を肉棒でかき混ぜる。手首に喰い込む縄の痛みよりも力丸に与えられる刺
激の方が勝っていた。彩女が吐息混じりに囁く。
「…他の…誰に抱かれたって…お前じゃなきゃ…こんな…っ…!」
 力丸の唇が彩女の頬に触れる。
「こんな…?」
「こんなに乱れたり…あ…っ…あぁんっ…!」
 肉棒が一定のリズムで抜き差しされる。彩女の背筋を伝い首筋までゾクゾクと快感が這い上がってくる。二度目の
波がひたひたと押し寄せてくる。
「あ…っ…はぁ…っ…!…りき…まるじゃなきゃ…イケな…い…っ」
 腰を密着させて彩女の中を深く抉る。快感にのけぞる彩女の首筋に舌を這わせ、きつく吸う。白い肌に赤紫の痕が
刻まれる。彩女の耳元で力丸の含み笑いが漏れた。
「当たり前だ…そういう風に…躾けたんだからな」
 力丸の手が拘束された彩女の掌に重なる。優しく指を絡めると手の甲に彩女の爪が立てられる。
「…また…ぁあ…っ!!!あっ…りき…ま…る…っ…!!!」
 手首を吊るし上げた縄がぎしぎしと軋む。奥まで突き上げられた瞬間熱いものが解き放たれるのを感じた。花芯は
徐々に固さを失いつつある肉棒を未だ繋ぎとめている。力丸の身体がもたれかかって来る。彩女の耳元に熱い息が
掛かる。
「…きつい…か…?」
 問いかけられて力丸の手を強く握っていたことに気づく。絡めた指の力を抜いた。
「…ったりまえだろ…何日こんな暗いとこに繋がれてたと思ってんのさ…」
 拗ねたように呟いて力丸に頬を摺り寄せる。
「────もう少し…いいか…?まだ…お前と繋がってたい…」
 二度、三度、優しく唇を重ねていくと彩女が舌を差し入れてくる。
「…ん…好きにすれば良いだろ…。ただ────。」
「…何だ…?」
「…手首…解いてよ…これじゃ…お前にしがみつけない…」



 片手で縄を解いてやると赤黒く痛々しい痣が剥き出しになった。痺れて上手く力の入らない腕が力丸の首に絡む。
彩女の身体を抱き寄せてかがみこむ。
「立ったままよりは…楽だろう…」
 床に膝を付いた力丸の上に繋がりあったまま抱えられる。
「血の臭いがする…」
 力丸の耳元で囁いた。抱き合った身体から汗と血の臭いがした。彩女の指が力丸の髪を優しく撫でる。
「らしくないな…返り血…浴びるなんて…」
「ふん…あまり待たせると…へまをやらかした割にうるさいからな…お前は。」
 彩女を抱き寄せた手がしっとりと汗ばんだ背中を撫でる。
「ばか…ぁっ…ん…」
 力丸のモノが徐々に固さを取り戻しつつあるのが伝わってくる。押し倒され背中に冷たい床が触れた。腰を持ち上
げられ、肉棒の先端がそれまでとは違う箇所を擦り上げる。先刻解き放たれた粘液と愛液とが彩女の中で混ざり合
う。激しく突かれ彩女の中から白濁した液体が溢れだす。
「あ…ぁっ…やっ…力丸のが…溢れちゃう…っ…あぁっ…」
 湿った音が一際大きくなる。力丸と繋がった箇所からとろけるような熱さが広がる。耐えかねて腰を持ち上げている
腕に爪を立てた。
「…き…まる…っ…もぉ…っ…!!…一緒に…っ…ひぅ…っ…!!!」
 先刻より固く膨らんだ肉棒が奥深くを穿つ。彩女の哀願を遮るように攻め上げる。
「嫌だ…お前がイクとこ…見たい…」
 潤んだ目が力丸を睨む。上気した頬が羞恥で更に赤らむ。唇を噛んでふいと横を向く彩女の仕草を見て力丸の口
元が思わず緩んだ。任務に赴く時のどこか冷たい印象の彩女とは違う、力丸だけが知っている彩女の姿がたまらな
く愛おしかった。
『もっと…乱れさせたい…』
 ゆっくりと彩女の反応を確かめながら肉棒を抜き差ししていく。両脚を持ち上げ肩に担ぎ上げた。乳房を優しく揉み
解す手に彩女の指が絡んでくる。
「…るい…ずるいよ…いつも…あたしばっかり…こんな…ぅんっ…あぁ…っ…い…くぅ…っ!!!」
 花芯が肉棒をギチギチと締め上げる。彩女の腕が力丸の肩口を掴んで引き寄せた。
「りき…る…おねが…い…もぉ…きが…へんに…り…そう─────」
 達しても尚攻め上げられ、震える唇がかろうじて言葉を紡ぐ。汗で頬に張り付く髪を力丸の手が優しく撫でる。
「彩女…お前の…中で─────」
 力丸自身も熱く張り詰めていた。激しさを増していく力丸の動きが彩女の身体をギシギシと軋ませる。
「ん…ぁ…っ…いい…っ…中で…奥まで力丸ので…一杯にして…ぇ…っ!!!」
 彩女の中に熱いモノが勢いよく放たれた。


 うっすらと汗ばんだ力丸の額が彩女の肩口に触れた。肉棒を引き抜こうと腰をずらすと彩女の脚が絡み付いてき
た。
「こら…」
「まだ…だめ…最後まで出してよ…全部…」
 微妙に収縮する彩女の花芯が力丸の達したばかりの肉棒を刺激する。温くて、くすぐったいような感覚だった。
「全部出したら…抜いていいよ」
 甘えたような声色で囁かれて力丸の下腹部が疼いた。
「…あまり長く繋がってると…また…その気になりそうだ…」
「ばか…」
湿った音を立てて肉棒が引き抜かれる。彩女の中から濃い精液が溢れ出した。

◆ ◆ ◆

「どーすんのさこれ」
 ぼろ布のようになった忍装束を掲げて彩女が呟いた。
「何着て帰れってゆうのさ…もぉっ…何も破く事無かったのに…」
「別に俺が破かなくたって元々ボロボロだっただろう…取り合えずこれでも着て帰れ」
 手渡された着物に袖を通す。
「変化の術の…これって…町娘の格好じゃないか…お前こんな…」
 『こんなもの力丸が着るわきゃ無いだろう…』クスクス笑う力丸を見てはっとする。
「最初からこれ着せて帰るつもりだったんだろ…コンニャロ…」
「どの道着替えは要ると思ってたから…良いかと思って…な」
「忍装束持って来てくれりゃ良いだろが!!!ふつーに!!!もーーーっっっ!!!」
「そうごねるな。たまには…そーゆー格好も…悪く…ないなぁ…」
 彩女のいでたちを繁々と上から下まで眺める。
「ばっ…ばか!!!見んな!!じろじろいやらしい目で見んな!!!」
「任務も無事終わったから帰るか…ほら…」
 彩女を抱き上げようと腰に手を回す。
「なっ…何!?やだやだ!!!おんぶ!!!おんぶにしろってば!!!」
 抵抗する彩女の耳元で力丸の低い声が囁いた。
「素直にだっこされるのと…足腰立たなくなるまでやられて抵抗できなくされてからだっこされるのと…どっちがいい?
選べ。」
 『そんな二択があるか…』今にも泣きそうな目でそう訴える彩女を抱き上げる。
「歩いて帰るもん…」
「そう怒るなよ…帰ったら風呂に入れてやるから…」