◆ 虜 ◆





 禍々しい光の渦巻く壁面を背に、玉座に悠然と腰掛ける天来の姿があった。傍らには数本の蝋燭の頼り無げな炎が揺らめいている。反魂の術によって天来の傀儡となった者達の命を繋ぐ光であった。
「ふん…郷田のくのいち…捕らえ損のうたか…あのくのいちを餌にすればたやすく力丸も堕ちようものを…」
 ひざまずき、頭を垂れる神楽の報せに溜息を一つ付き呟いた。
「申し訳ございません…次こそは──────…」
 大きな鈴を模った髪飾りがシャランと音を立てた。天来の視線が揺らめく蝋燭の炎に注がれる。神楽の顔から血の気が引いた。
「おっ…お待ち下さい天来様っ!!もう一度だけ機会をお与え下さい!必ずや郷田のくのいち生け捕りに──────…」
 天来の含み笑いが静まりかえった広間に響く。身を乗り出し懇願する神楽を一瞥するとゆっくりと立ち上がった。
「もう一度…機会が欲しいか…?だが…此度の失態…何とする…?」
 一歩、また一歩と神楽へと歩み寄る。長く伸びた天来の影が神楽を覆う。
「お咎めであれば…いかようにも…ですからどうか──────…」
 石の床を見つめ神楽が呟いた。
「いかようにも…か──────…」
 天来の声音の変化に神楽が顔を上げた。そこに在る天来の姿は人のそれでは無く、邪気を放つ蛇と化していた。
 神楽の足元に何かが絡み付いてきた。天来の落とす影から無数の黒い蛇が神楽の脚を這い上がって来る。払い除けようとする手にも容赦なく蛇が絡みつき、あっという間に四肢の自由を奪われ床に押し倒される。背中に触れる筈の冷たい石床の感触も無数にうねる蛇のそれと化していた。
「て…っ…天来様──────…っ!?」
「咎めはいかようにも…と言ったであろう…?」
「ですが…こっ…これは──────…」
 神楽の足元から更に一匹の蛇が這い上がって来る。内腿を這い、着物の裾へ頭を潜り込ませて来る。
「ひ…っ…!!」
 進入を拒もうと震える膝を僅かに寄せる。
「くくく…そら…もっと脚を開かぬか…」
 絡み付いてくる蛇が天来の意のままに神楽の脚を大きく開かせる。蛇の鼻先が薄布の上から神楽の秘裂をなぞる。
「天来様ぁ…っ…やめ…っ…」
 尻の下で何かが蠢いた。帯がゆるむ感触に次いで尻の下からひんやりとした物が這い上がって来る。
「あ…あぁ…──────…っ…」
 神楽の柔らかい肌と蛇の冷たい鱗が擦れ合う。下腹部から徐々に這い上がって来たそれは胸の谷間を辿り襟元を大きくはだけさせ頭をのぞかせる。チロチロと蛇の赤い舌が神楽の頬を掠める。蛇の舌から逃れるように顔を背けた。
「──────…!!」
 顔を背けた瞬間首筋に鋭い痛みが走る。ブツンと音を立て柔らかな肌に蛇の牙がめり込んでいく。驚愕にみちた神楽の眼に薄笑みを浮かべた天来が映る。
「心配するな…毒ではない…じきに身体で判る筈じゃがな──────…」
 喉元に喰らいついていた蛇が頭をもたげ蠢く。神楽の柔らかな乳房をその身で締め上げ、弾力を楽しむかのように鼻先を押し付ける。
「あぅっ…!」
 乳房をきつく揉まれる様な感触に神楽の唇から思わず声が漏れた。首筋を噛まれた熱さが全身を巡り、下肢に集中しはじめる。『じきに身体で判る』先刻の天来の言葉が脳裏を過ぎる。
 薄布が引き裂かれる音がした。鼻先で秘裂をなぞっていた蛇が神楽の下着を食い千切り、直に割れ目を探る。
「はぁ…っ…!天来様…お許し下さい…もぉ…十分に──────…っ!!」
 首筋から注がれた毒の作用でチロチロと肉芽を掠める蛇の舌先の僅かな刺激ですら敏感に感じ取る。神楽の肌がしっとりと汗ばみはじめる。
「十分…?何を言う…まだ始まったばかりではないか…」
 神楽の秘裂をまさぐっていた蛇が頭をもたげる。苦しげに身を捩り天を仰ぐ。徐々に赤黒く変色し、むくむくと膨らみはじめる。神楽の目の前で蛇の頭であったそれは肉茎へと姿を変えた。
「さぁ…そやつらを楽しませてやるがよい──────…」
 恐怖に唇を震わせる神楽をよそに、肉茎と化したそれが秘裂に押し付けられた。蛇の動きそのままに柔らかな肉壁を押し広げゆっくりと挿入される。
「ひ…っ!」
 神楽とて男を受け入れた経験が無い訳ではない。だが今まで受け入れてきた男のモノとはまるで勝手が違う。乱暴に突き上げる動きこそ無いものの、肉茎それ自体が意思を持ち、蠢き内側をかき混ぜる。まるで神楽の反応を楽しむように、敏感な箇所を探るように擦り上げる。初めて味わう感触に神楽は戸惑っていた。
「あふ…っ…!!」
 膣内のある一点を擦り上げられ神楽の唇から甘い吐息が漏れた。神楽の反応に更に亀頭を強く押し付けかき混ぜる。蛇の執拗な攻めから逃れようと僅かに腰を浮かせた。
「天来様ぁ…っ…!あぁ…っ…お…っ…お許し…ぃ…ひぁ…っ…!!」
 腰を浮かせた事で更に深く蛇の頭を迎え入れる結果になった。膣内で蛇がうねるたび、濡れた音が大きく響く。異形の物に犯されながら既に神楽の身体は達する寸前まで追い込まれていた。
 先刻神楽の首筋に喰らいついた蛇が鼻先を頬にすり寄せて来る。薄く瞼を開くと目の前でそれは身を捩り、赤黒く変貌していく。神楽を犯すそれと同じように肉茎へと姿を変え、柔らかな唇に先端を押し付けてくる。逃れようと顔を背けた途端、膣内を満たしている蛇がうねる。
「あんっ!!…は…ぁ…っ…!いやぁ──────…!!」
 下肢に与えられる刺激に反応し唇を開き喘ぎ声を漏らす。それを待ち構えていたかのように肉茎と化した蛇が口中に侵入してくる。ぬるついた神楽の舌先に触れ肉茎がビクビクと脈打つ。神楽は観念したように口中に押し込まれた肉茎に舌を這わせ始める。
「ん…む…っ…!…ぁ…はぁ…ぅん…っ…ん…っ──────…」
 神楽が口で奉仕している間にも膣内を満たす蛇は激しくうねる。ニチャニチャと音を立てて溢れた愛液が秘裂から滴り落ちた。徐々に神楽の舌の動きが鈍り、大きく開いた膝がガクガクと震えはじめる。なまじ男の味を知っている神楽の身体は、気持ちとは関係なくねじ込まれた肉茎をより深くくわえ込もうと収縮する。

『嫌ぁ…っ…こんなモノ相手に…イク…なんて──────…い…やぁ…っ…!!』

 上体を弓のように反らせ、内腿の筋肉をピンと張り詰める。達していた。はだけた胸元から豊満な乳房がこぼれ、神楽の身体が痙攣するたびにブルブルと柔らかく震える。神楽と繋がり合っている肉茎は未だ硬く、きつく収縮する肉壁の感触を楽しんですらいるようだった。
 肉茎が脈打つ度、神楽の身体がビクビクと痙攣する。蛇の攻めから逃れようにも四肢を拘束されままならない。天来に許しを請おうにも肉茎と化した蛇に口中をふさがれ声を発する事すら出来ない。
「ふん…もう達したか…他愛の無い…そら、蛇共はまだ満足しておらんぞ」
 膣内で再び蛇がうねりだす。息苦しさに耐え兼ね口中にねじ込まれた肉茎から逃れようとするが、逆に喉の奥まで押し込まれ僅かに呻き声を漏らす。卑猥な音を立てながら肉茎が一定のリズムで抜き差しされる。神楽の身体が再び絶頂を迎えた。肉壁にギチギチと締め上げられ、蛇の胴が膨らみようやく爆ぜた。膣内に解き放たれた粘液のとろけるような熱さに全身の力が抜けていく。
 口中を犯す蛇が舌での奉仕を催促するように蠢いた。神楽は朦朧とした意識でそれに応える。
「はぅ…っ!」
 秘裂から肉茎がズルリと引き抜かれた。肉壁を逆なでする鱗の感触に、達したばかりの敏感な箇所が刺激され思わず吐息を漏らす。肉茎であったそれは既に蛇の姿へと戻り、愛液にまみれ黒光りしていた。
「先刻と同じではつまらぬであろう…?床に這いつくばり尻を突き出せ…」
 天来の嘲笑うかのような声が響く。口中を蛇に犯されたままの神楽が弱々しく首を横に振る。
「ふん…拒めると思うてか…?」
 手足に絡む蛇達が神楽の身体を容易に反転させる。ゆるんだ帯がスルリと床に落ち、袖を通していただけの着物が引き剥がされる。尻を高く突き出し天来の前にあられもない姿を晒す。
 口中からはちきれんばかりに膨らんだ肉茎が引き抜かれ、ねっとりと唾液の糸を引く。唾液に濡れた肉茎はゆっくりと神楽の肩口から背中へと這い上がる。
「天来様…お願いです…どうか…もう…お許し下さい…っ…ぁあ…あ──────…!」
 神楽の右腕に絡み付いていた蛇が腹の下を這い下肢を目指す。既に肉茎と化した頭をもたげ内腿をなぞる。先の蛇が吐き出した粘液を滴らせる秘裂を探り当て、ズブズブと雁首をめり込ませる。
 背中から這い上がって来た蛇が既に肉茎を受け入れた秘裂に、物欲しげに頭を擦り付ける。
「ひぃ…っ…」
 秘裂をつつき回していた亀頭が尻の丸みを撫でる。背筋をゾクリと寒気が走る。神楽のおびえた様子を察してか、先の挿入で溢れた愛液を辿るように尻の割れ目をなぞる。秘裂にねじ込まれた蛇が身体をくねらせる。ゴボリと音を立て、愛液が溢れ出し内腿を伝い落ちる。
「ほほう…蛇をくわえ込み尻穴までヒクつかせておるぞ…そこにも欲しいか…?」
 天来の言葉に尻の割れ目をまさぐっていた蛇の亀頭がぐいと蕾に押し付けられる。
「てん…ら…ぃ…さまぁ…っ…!あっ…あぁんっ…!!あぐぅっ!!!」
 押し付けられた亀頭が愛液に濡れそぼった蕾を押し広げていく。唾液のまとわりつく肉茎がゆっくりと呑み込まれて行く。秘裂と蕾とを同時に犯される。蛇の毒に侵され、間を置かず攻め上げられた神楽の身体は、痛みよりもそれまでに味わった事の無い快楽に溺れる雌になりつつあった。
「良い眺めだぞ…神楽よ…そら…まだ退屈しておる蛇共がおるぞ…」
 神楽の口元に肉茎と化した蛇が這い寄ってくる。唇を開き口中に迎え入れる。先端をチロチロと舌先でくすぐりながら雁首を口中に含み、男のモノにするように竿に当たる部分を扱いてやる。神楽の与える刺激に反応して肉茎がビクビクと脈打つ。左手に絡みつき、神楽を拘束していた蛇がねだるように掌に頭を擦り付けてくる。掌で優しく亀頭を撫でながら口元に引き寄せ、二匹の蛇を交互に口中に含む。
「んふ…っ…はぁ…っ…んむぅ──────…」
 秘裂に潜り込んでいた蛇が膣内で激しくうねる。その動きにつられて蕾にねじ込んでいた蛇も暴れ始める。秘裂から溢れた粘液がボタボタと床に零れ落ちる。神楽が息を詰め尻を震わせる。二匹の蛇が内側で同時に爆ぜ、肉壁一枚を隔てて注ぎ込まれる粘液の熱さが神楽を満たす。同時に神楽もまた達していた。
「あぁ…天来様ぁ…っ…アツいのが…一杯にぃ──────…」
 荒く息を吐きながらもうっとりとした表情で執拗に肉茎をしゃぶる。神楽の舌の動きに反応して肉茎が熱く脈打ちむくむくと膨らみはじめる。
 粘液を吐き尽くしたのか、蛇がぶるりと身を捩り神楽の膣内から頭を引き抜く。次いで粘膜をザラリとした鱗の感触が撫でる。蕾から蛇が引き抜かれると同時に秘裂を満たす大量の粘液が溢れ出す。
「ふぁ…あっ──────…」
 粘膜を擦られる感触に喘ぎ、口中に含んでいた肉茎から唇を離す。次の瞬間熱い粘液が勢い良く解き放たれた。ねっとりとした粘液を頬に浴びながらも、ちゅぷちゅぷと音を立てて亀頭をしゃぶり最後の一滴まで舌で拭う。
 神楽の手で愛撫されていた蛇が放出をねだるように頬に亀頭を摺り寄せる。口中を満たす粘液を喉を鳴らして飲み干し、擦り寄って来た肉茎をしゃぶり始める。神楽の手で十分に刺激されたそれは僅かな刺激で限界へと近づく。唇をすぼめ扱くように抜き差しを繰り返す。口中深くくわえ込みきつく吸うと、いとも容易く爆ぜた。粘液を吐き出した肉茎を口中から解放する。神楽の唇の端から唾液と粘液とが混ざり合い零れ落ちる。
 神楽を犯し、満足した蛇達が足元でうねる。黒い蛇の群れの中から一匹、一際太い蛇が大きな頭をゆっくりともたげた。口中に含んだ粘液を飲み干し、手の甲で濡れた唇を拭う。
「ほら…いらっしゃい…──────」
 蛇を誘うように僅かに腰を浮かせ花弁を指で広げてみせる。ヒクヒクと蠢く花芯からは粘液に混じって透明な愛液が滴り落ちる。蛇が身を捩りそれまで受け入れてきたモノよりはるかに太い肉茎が頭をもたげる。ニチャッと言う音を立て、亀頭が秘裂に押し付けられる。身体が持ち上げられるような圧迫感に逆らうように腰を沈める。
 先に受け入れた蛇たちが吐き出した粘液と、神楽自身の滴らせる愛液とで十分に潤い、慣らされている筈の膣内が更に押し広げられる。
「んぅ…あ…は…ぁん…あ…っ…凄ぉ…い…ぃ──────…」
 首筋をのけぞらせ肉欲のままに甘い吐息を漏らす。沈めた腰を浮かせると、膣内を一杯に満たす肉茎の鱗がざりざりと肉壁に擦れ身体の芯に更なる快感を与える。雁首を逃すまいと神楽の秘裂がきつく締まる。再び腰を沈め肉茎を深くくわえ込む。透明な愛液が蛇の太い胴を伝い神楽の尻の下でうねる蛇たちに滴り落ちる。
 いやらしくくねる腰の動きに合わせ抜き差しが繰り返される。ズブリと深く押し込まれ神楽の身体が前のめりになる。両手を床に着き上体を支える。膣内に押し込んだままの蛇が頭をもたげ、それにつられる様に神楽の尻が高く持ち上がる。
「ん…ぁ…あっ…っ…いぃ…──────…」
 雁首まで引き抜かれた肉茎がゆっくりと押し込まれる。甘い吐息を漏らしながら、円を描くように尻を蠢かす。肉壁全体で亀頭を擦られ蛇の胴がビクビクと脈打つ。
「だめぇ…まだ…まだ出さないでぇ…っ…」
 腰をくねらせより深い結合を促す。神楽の身体の下でうねる蛇が頭をもたげ背後から深々と蛇をくわえ込む秘裂へと鼻先を擦り付け、赤く充血した肉芽をつつく。ゴボリと音を立てて肉茎が引き抜かれ再びもどかしいほどゆっくりと押し込まれる。蛇に与えられる刺激に神楽の尻がビクンと跳ねる。
 汗ばむ胸の谷間からスルスルと新たな蛇が頭をのぞかせる。欲情し膨らんだ乳首を鼻先でつつきまわす。荒くなる神楽の息遣いに、それまで身体の下で這い回っていた蛇が先を争うように乳首を弄ぶ。肉芽をつつく蛇の頭がいつの間にか三つに増え、もどかしい愛撫に蛇をくわえ込む秘裂がきつく収縮する。
「ん…っ!!…もぉ…だめぇ…っ…来て…奥に…!奥まで突いてぇ──────…!!」
 全身が貫かれる感覚に次いで膣内に熱い粘液が解き放たれる。ビクビクと胴をうねらせながら吐き出される粘液は秘裂から溢れながらもなお注ぎ込まれ続けた。
「あぁ…は…ぁ…──────…!」
 欲望を膣内に吐き出し満足した蛇の胴がズルリと引き抜かれた。ぱっくりと開いたままの秘裂からドロリとした粘液が溢れ出す。神楽を犯し尽くした蛇達は影の中に身を沈め一匹、また一匹とその姿を消していく。未だ火照りのおさまらない身体に冷たい石の床が触れる。


 蛇の吐き出した粘液にまみれた顔を上げ、潤んだ眼で天来を仰ぎ見る。未だ荒い息を吐きながら切れ切れに呟いた。
「天来様…これで…お許し頂けますか…?」
 神楽を見下ろす天来からは既に妖気は失せ、人の姿へと戻っていた。
「ふん…まぁ良かろう…蛇共も満足したようじゃしな…」
 神楽に背を向け再び玉座へとその身を沈める。天来が振り返った時、既に神楽の姿はそこには無く、先の行為の名残が石の床に点々と黒い染みを作っていた。
「次こそ…郷田のくのいち生け捕りにしてまいります──────…」
 静まりかえった広間に神楽の声が微かに響いた。

「ふ…せいぜい返り討ちに合わぬように気を付ける事じゃ…蛇共は…ことのほか…お前の身体が気に入ったようじゃからのう──────…」
 天来の傍らで神楽の命を繋ぐ蝋燭の炎が微かに揺らめいた。