肌を撫でるひんやりとした夜風の感触に、凛は目を覚ました。情事の気だるさの残るぼんやりとした頭で周囲を見
回す。畳の上に散らばる着衣に混ざって、彩女から預かった密書が目に付いた。
『いけない…。』
 身体を起こそうとしてふと、枕にしている温もりに気が付いた。
「起きたのか…朝まで眠ってるかと思ったが…」
 単葉の声に慌てて起き上がった。
「どれくらい…?」
 身体を覆う着物を胸元に引き上げながら呟いた。単葉の腕の中で眠っていた事と、単葉がそれを許していた事に僅
かに戸惑った。
「さあな…半時も経っていないと思うが…」
「そう…」
 単葉の答えを背中で聞きながら、畳の上の密書に視線をくれる。単葉が起き上がる気配がした。
「単葉…!?」
 背後から伸びてきた腕が凛の腰に絡みついてきた。反射的に身を捩り逃れようとするが、そのまま引き寄せられ単
葉と抱き合うような姿勢になった。小柄な凛は単葉の腕の中にすっぽりと納まり、大人しく身体を預けていた。
「もう…行かないと…」
「まだ…良いだろう…夜が明けるまで時がある…」
 凛の髪を撫で、夜風に冷えた肩を優しく抱いた。単葉の胸に頬を寄せる凛の脳裏に、先刻交わした言葉が蘇る。


『お前じゃ代わりにならない…』


 『代わりにならない』のなら…何故こんなにも自分の肌を求めてくるのか、『代わりでない』のなら…自分と同じ気持
ちで居てくれるのか…。単葉の本心を確かめたかった。
「単葉…」
 言葉が続かなかった。単葉の胸に顔を埋め口を噤んだ。過程はどうあれ、葉隠れの里を裏切った単葉と肌を重ねて
いる…それは紅屋を裏切っている事に他ならなかった。今更本心など問いただしてもどうなるものでも無い…。
 単葉の手が凛の頬に触れ、顔を上げさせる。
「凛…」
 頬をなでる単葉の手をすり抜け、凛の柔らかな唇が単葉のそれに触れる。細い両腕が単葉を抱き締め、深く唇を重
ねていく。

 再び凛の体が畳の上に押し倒された。
『あたしは…紅屋を…吉五郎さんやお吟さんを…裏切ってるんだ…』
 夜明けが近づいていた。白み始める外の気配に気付かないよう、凛は目を閉じた。








 甘いよりも何よりも凛ちゃん!!任務をきちんとこなしなさい!!今頃吉五郎さんは待ち
ぼうけですよ!!つーか単葉も、も・と・め・す・ぎ!!あれですね、黒屋さんは相当キく精
力剤とか扱ってるんですねっっ!!(超命丹?)

 凛ちゃんの忍鎧(鎧じゃないけどね…)予想どうり脱がせ易くて大変宜しいねっ♪
解いたサラシで軽く拘束とかできそうだし…。ん?別に帯とかで拘束してもいいのか
…。鍵縄はダメですよ。忍具は正しく使いましょう。